米中が衝突のコースを歩み始めた中、不確定で不愉快な外交リスクが浮上。トランプの登場は「アメリカの時代」の終わりの始まりなのか? 習近平が謳い上げた「中国の夢」「一帯一路」をどう読むか? 21世紀に入り、日中はともに相手国の把握に「失敗」してきた。私たちは中国が直面する危ういジレンマを認識した上で、そろそろ新時代にふさわしい付き合い方を構想すべきである。「習近平の中国」を知り尽くした元大使によるインテリジェンス・レポート。
目次
はじめに――不愉快な変化が再びやってきた
1章 われわれは歴史から何を学ぶのか
・戦前の日本が犯した最大の判断ミス
・「中国問題」が対米衝突の根本原因
2章 われわれは今どういう世界に住んでいるのか
・二つの世界大戦の灰燼から生まれたもの
・トランプ流“商売外交”
3章 「習近平の中国」は何を目指しているのか
・習近平を突き動かしているもの
・「習近平の中国」が直面する厳しい現実
4章 「習近平外交」は生成発展の過程にある
・“鄧小平外交”の限界と対外強硬姿勢の登場
・ナショナリズムに翻弄される習近平の「新外交」
5章 日中関係の本質的な変化
・“古き良き時代”の日中関係に戻ることは難しい
・日中は相手の位置づけに失敗した
6章 新時代の対中新思考と日本の戦略
・日本の対中関与政策は間違っていたのか?
・米中の「安全保障のジレンマ」
7章 平和で安定した日中関係の構築
・「人類運命共同体」構想
・最後は国民同士の関係で決まる
おわりに――日本は「失敗」から学んだのか
著者プロフィール
宮本雄二 ミヤモト・ユウジ
1946(昭和21)年福岡県生まれ。宮本アジア研究所代表。1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。1990年アジア局中国課長、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。著書に『習近平の中国』『強硬外交を反省する中国』など。
中央公論新社
定 価:902円(税込)
発売日:2019/3/7