【北京だより】5月31日号

最近、中国各地においては、自動運転の話がしばしば話題になっています。先週の5月23日(木)から、北京では一番大きな電車駅、北京南駅周辺で自動運転車両の実車テストを開始したと報道されています。関係部門の発表によると、今回のテストは旅客輸送業務は暫く行わず、主に周辺の交通環境と路線テストを目的に展開しているそうです。「蘿蔔快跑」(Apollo Go)、「小馬智行」、「文遠知行」、「安途智行」の4社がテスト参加認可を取得し、北京南駅と亦荘開発区の双方向でそれぞれ32キロと58.6キロの自動運転試験道路でテストをスタートしました。これで北京の自動運転は初めて中心部の南三環路まで進出してきました。下図は道で走っている「小馬智行」社の自動運転車の様子です。車の頂上に設置してあるレーダーは目立ち、最高時速は100キロだそうです。

実は現在、北京亦荘開発区では既に無人運転のタクシーが走っていて、料金も普通のタクシーの半分以下の安さです。また、つい最近から、亦荘から大興空港までは無人運転タクシーが投入され、APPから予約すれば無料で乗車できます。現在、大興空港往復はまだ試行運営段階なので、車内には安全担当員が設置されています。下図は空港向け無人運転タクシー内部の様子です。

また、「小馬智行」社は最近、広州に次ぎ、北京南部でトランクチームの実車テストをもスタートしました。トランクチームというのは、1台のリード車に最大5台のトランク車を率いることで、リード車には安全管理員の設置が必要とされています。これは安全上の配慮や実際の商売(貨物の卸、入荷等)においてどうしても人間が必要ということからです。また、もう一つの「主線科技」社は北京・天津・河北省(京津塘高速道路)、山東省、内モンゴル及び長江デルタなどの地区で貨物輸送用自動運転トランクチームのテストとモデル運営をすでに展開しています。将来的には貨物運送等、物流のコストはさらに下がるだろうと思われています。

また、「新石器無人車」社の紹介によると、同社のL 4自動運転無人車は既に20以上の都市で無人配送車の運営承認を取得し、都市の安全パトロール、小売などのシーンで多く使われています。北京の順義区や亦荘開発区等においては貨物自動配送車、自動販売車等が既に多く走っています。そのほか、無人運転の小型バスも北京で登場しました。下図は今年3月、北京市通州区に新しく登場した無人運転バスで、定員は9名、中には安全担当員1名設置し、毎日北京城市図書館と駐車場の間で走っています。無料で乗車できますので大人気でいつも並んでいるそうです。

北京以外、Baidu傘下の「蘿蔔快跑」(Apollo Go)無人運転タクシーは2年間で武漢市内半分のエリアまで運営範囲を拡大し、約770万人の人口にサービスを提供しています。同社は武漢市においては2025年で黒字転換が実現できると発表しました。杭州市は5月1日から全市の8つの市街区と桐廬県市街区の計3,474㎢の範囲で、無人運転を全面的に開放し、杭州市の主要都市部をカバーし、1,000万人超の市民にサービスを提供できます。

 無人運転については、現在安全上への心配のほか、指定したところしか乗車できないので不便だ、多くのドライバーさんが失業問題が発生する、等、色々現実的な問題がまだ残っていますが、技術の改善に伴い、段々人々の生活の中に入り、全国まで広がっていくだろうと思われています。

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