3月1日(金)から、交通運輸部が制定した「宅配市場管理弁法」が正式に実施され、宅配会社はユーザーの同意を得ずに勝手に荷物をスマート宅配ボックス、宅配サービスステーションなどにおいてはならないということを明確にしました。それに違反する場合、宅配会社を対象に最多3万元の罰金を科すことができます。
近年来、ネットショッピングの爆発的な発展に伴い、宅配便の量も年々増えてきて、各住宅団地内ではスマート宅配ボックス等が沢山取り付けられました。これに従って、「順豊」と「京東」(宅配会社名)以外、ほとんどの宅配会社の配達員はユーザーに知らせずに、勝手に荷物をスマート宅配ボックスに置いています。しかし、これは配達員にとっては便利ですが、一部の消費者に大きな迷惑をかけています。例えば行動が不自由な老人や女性の場合、重い荷物だとしたら運ぶことができず、かなり不便です。このように消費者からのクレームも多いそうです。
しかし、今回実施した「宅配市場管理弁法」は本当に問題解決になれるか、個人的にはかなり疑問視しています。なぜなら、まずは今の中国配達業者の収入体制の問題です。配達業者は出来高払いなので、業界関係者によると、宅配業者が荷物を1件配達する場合の収入は約0.8元で、スマート宅配ボックスを利用する場合、荷物1件につき0.4元程度の費用を支払う必要があります。つまり荷物1件の純収入はわずか0.4元前後だとのことです。従来の場合、沢山の荷物を一気にスマート宅配ボックスに置けば、時間を節約できるため、1日600~1,000件の荷物を処理できます。今度はそれぞれのお客さんに電話して確認が必要となり、また各住所に届けないといけないので、1日の配達量は大幅に下がり、勿論収入も下がりますので、一部の宅配会社では既に配達員の離職問題が発生しています。
今、「順豊」と「京東」は配達料金が高いためサービスが良く、荷物は部屋まできちんと届けられます。他の会社は低価格戦略を採っているため、サービスの面ではなかなかこの2社には追い付けられないのが現状です。もし今回の「宅配市場管理弁法」を厳守するならば、多分中国配達業界の料金全体はこれから上がることになるだろうと思われます。
一方、消費者の多くはサラリーマンで、毎日朝早く出かけて夜遅くまで仕事に追われ、荷物を部屋の入り口に置いて紛失するより、むしろスマート宅配ボックスに置いてあるほうは安心だと思う人も多いようです。
3月に入ってから、確かに家でも配達員からの相談電話や、部屋前に置く荷物が従来より増えました。今後、配達料金の上昇や他の動きが発生するか否か、まだしばらく様子を見てみる必要があると思います。
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