2016年9月8日(木)から10日(土)にかけて「第19回中国国際投資貿易商談会(厦門商談会)」が中国福建省厦門市で開催され、日中投資促進機構から事務局長嶋原信治以下4名が参加いたしました。本商談会は「一帯一路にフォーカス、双方向投資を推進(原文:聚焦一带一路,推动双向投资)」をテーマにしており、今年は百数十以上の国・地域から数万名が参加しました。
【開会式の様子】
当機構は商談会の開幕式をはじめ、汪洋副首相が出席された国際投資シンポジウムおよび多国籍企業座談会に参加したほか、中国開発区協会の師会長、重慶市対外貿易経済委員会の何副巡視員、厦門市外事僑務弁公室とも面談いたしました。
また、この機会を利用して現地に進出している日系企業3社を訪問させていただき、現地の事情等についてヒアリング・意見交換を行いました。
【多国籍企業との座談会の様子】
シンポジウムおよび座談会での汪洋副首相のご発言の概要は、以下の通りです。
■習近平主席はG20において参加各国はこれから行動に移すことが重要で、空理空論で終わってはいけないと強調した。この厦門商談会は杭州での共通認識を実践する第一歩である。
■本商談会はこれまで20年にわたり開催され、150以上の国・地域から23万社強が参加し、32兆元の投資が行われ、世界で最も影響力のある国際投資商談会の一つになった。
■中国経済は、世界経済情勢と着実に密接な結び付きを強めており、開放戦略によってWin-Winの相互利益の関係を構築し貢献していく。また、輸出入を均衡させ、“対中投資”に加え“走出去”を共に重視し、高度な開放型経済を発展させていく。
■足元の環境認識及び政府方針の概要については以下の通り。
・世界の経済成長スピードは減速、中国国内でも矛盾が徐々に大きくなっており、発展のプレッシャーは大きい。
・サプライサイド改革を推進。短期的な利益の追求ではなく、長期的な視点で連続性・安定性を重視した計画を実施する(次の政権に問題を持ち越さない)。
・改革を進めるなかで、一部の経済主体からは不満が出ている。しかし経済規模が大きく、問題が多いのはやむを得ない(中国人は、以前の無産階級ではなく、今は有産階級。諸改革はゼロからの積み上げではなく、プラスもマイナスもあり得る。)。
・ネガティブな面ばかりでなく、ポジティブな面に焦点を当てれば、サービス業、ハイテク産業が大きく成長。新たな雇用の受け皿となっている。今後、5つの幸福産業(観光、文化、スポーツ、健康、養老)に力点を置く。
・中国企業が海外に出ていくことも“開放”を意味する。海外で生き残った企業が良い企業。これらの企業が中国に戻って中国発展に寄与することを期待。
・GDPで人を評価するシステムからの脱却。成長率は6.7%でも7.0%でも受け入れる。
・法律環境も大きく変わった。指導者がトップダウンで決められた時代から、事前にさまざまな意見を聴取し、国務院→常務委員会を通して決定する体制に移行。パイロット拠点で試行してから全国に展開するため、議論に時間がかかるのはやむを得ない(歩く方向を確認しながら進める)。
・国内投資環境は、労働力コストの増大、優遇策の減少等はあるものの、知的財産権裁判所を3か所設置(広州、北京、上海)し、高等(大学)教育修了者1億7千万人を有する有望市場。
・中産階級が拡大しており、ミドルエンド・ハイエンドの製品は不足しており、外資企業には引き続きビジネスチャンスあり。
最後に、「中国は皆さんの期待を裏切りません。中国の発展に尽力いただきたい。」との言葉で締めくくられました。
【中国開発区協会会長との面談】
【重慶市との面談】
なお、商談会に関する詳細な内容は「投資機構ニュース」(178号、2017年1月発行予定)で改めてご報告致します。