●大暑(2016年7月22日 曇り 最高気温31℃、最低気温25℃)
暑くなりました。中国では“酷暑盛夏”という言い方があるとおり、一番暑い時期です。
最初から変な写真で恐縮です。このシャツめくりは、全く風流とは言えませんが、北京の夏の風物詩の一つでもあります。
北京のどこを歩いていても(恐らく中国どこでも同じでしょうが)、特に中高年の男性が、自分の着ているシャツを大きな太鼓腹と胸の谷間までめくり上げる姿をよく見かけます。
“酷暑盛夏”のなかで、涼を入れる一つの方法なのかもしれませんが、沢山食べて、お腹がここまで大きくなったと自分を誇示しているようにも見受けられます。私が初めて訪れた1980年代前半の中国では、食糧は国が管理する供給制が実行されていました。そのため、太った人はほとんど見かけませんでした。今ではお金があればなんでも買える時代になり、同時に男のお腹も大きくなっています。
写真は、よく見ましたら、結構危なそうなお兄さんでしたので、ぼかしをかけました。
次の写真はシャツも脱いだ上半身裸のおじさんです。
北京では、このような半裸の男性のことを、“膀爺(bang ye)”と呼びます。 “爺”と書いていますが、簡単に言えば“半裸おじさん”といった意味です。
彼らのスタイルは、上半身裸、短パン、サンダルか革靴に黒靴下が定番です。写真のおじさんも、ご覧のとおり、典型的なスタイルで、路上で自転車の修理を仕事とされています。このような、終日外で仕事をされている人に、“膀爺(bang ye)”は多いようです。
日本人の私から見ますと、汗の逃げ場が無くて、逆に風邪を引きやすいと思いますが、しかし、彼らの肌は、長年に亘り蒸発した塩分を再び吸収した結果でしょうか、赤黒く照りかえり、風邪などどこ吹く風といった渋みを放っています。
最後の写真は、プールやお風呂でもなく、普通の道を歩いていたときに、おばあさんに連れられたチビ“膀爺(bang ye)”を写したものです。
中国では、経済が発展するに従い、「文明建設」と言って公衆道徳の向上が叫ばれています。しかし、政策側の意向とは関係無く、長年の風習というものは、良きにつけ、悪しきにつけ、自然な形で次の世代へと受け継がれていくのです。
写真・文=北京事務所・谷崎秀樹
★本コラムについてはこちらから→【新コラム・北京の二十四節気】(夏至2016/06/22-空竹)
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