【外商投資環境の更なる最適化と外商投資誘致力の強化に関する国務院の意見/国務院〔2023〕11号】(外資政策)

(2023年8月13日 中華人民共和国中央人民政府HP)

・外資を積極的に誘致・活用することは、高度な対外開放を推進し、新たな開放型経済を構築する上で重要な役割を果たす。 外資の投資環境をさらに最適化し、投資促進業務の水準を向上させ、外資誘致力を強化するため、以下の意見を提出する。

<外資活用の質を向上>
1.重点分野における外資導入の拡大:R&Dセンターを設立しての国内企業との共同開発を奨励。関連法令の遵守を前提とした生物医学分野、細胞・遺伝子治療薬の臨床試験奨励、国内生産移転した医薬品の登録申請支援、先端製造、現代サービス、デジタル経済等の外資企業が国内各種専門学校、職業訓練と共に教育・訓練を実施することの支援。
2.サービス産業の開放拡大:知的財産権、株式、その他実体資産に基づくストラクチャードファイナンスの発展支援、知財権の証券化支援。株式・ベンチャーキャピタル投資の譲渡試行地区増加、国内インターネットバーチャル専用ネットワーク事業(外資比率50%未満)、情報サービス事業(オンライン出版業務を除く)、インターネット接続サービス事業(インターネット接続サービス提供に限定)など高付加価値電気通信事業開放試行地域を拡大。
3.外資誘致チャネル拡大:条件に符号する投資性公司、地域本部設立奨励し、関連投資性公司により投資設立された企業への外商投資企業待遇享受。QFLPによる国内投資試行プロジェクト実施、QFLPのための円滑な外貨管理制度確立と国外人民元による対内投資の支援。
4.外資企業の段階的移転: 自由貿易試験区、国家級新区・開発区等の開放プラットフォームを活用、東部地区が中西部・東北部。・国境地域との間で利益共有を模索し、協力して産業移転を行なうことの奨励。
5.外資プロジェクトの促進メカニズム改善:重点外資プロジェクトを支援し、早期調印、着工、完成、生産開始を支援。グリーン電力消費を促進する政策を導入し、外資がグリーン電力証書取引や省・地域を跨いだグリーン電力取引に参加できるよう支援する。

<外商投資企業に対する内国民待遇の保障>
6.外資企業の政府調達活動への参加を保証:「中国国内生産」基準を明確にするための政策・措置を早期に導入。革新的な共同調達方法を検討し外資企業が中国で世界をリードする製品の研究開発を支援。政府調達法を調査し、外資企業に対する差別的取り扱い等の法令違反を処理、典型的事例を公開。外資企業が政府調達活動で権利・利益を害された場合、異議苦情申立をし、法律に従って公正に処理する。
7.外資企業が標準策定に参加することへの支援:標準策定・改定に関する全過程の情報を公開、外資企業が対等な立場で内資企業と同様、標準化技術委員会や標準設定作業に平等に参加することを確保する。外資企業が単独または他者と共同で企業標準を策定し、標準化作業を実施することを奨励。
8.外資企業による支援政策の享受:地域の産業発展支援や内需拡大政策において、外資企業、製品、サービスを限定、排除、差別してはならず、法令に明定されているもの、国家安全保障分野に関わる分野を除き、外資企業が政策を享受するための追加条件を定めることを禁止。

<外国投資保護の継続強化>
9.外国投資の権益保護メカニズム改善:国際投資紛争の対応メカニズムを構築し適切に処理する。外資企業の苦情に対する省レベルでの調整メカニズムを改善、複数の部門や政策が絡む問題解決を促進。
10.知的財産権の保護。:特許侵害紛争に対する行政審判制度を改善し執行を強化する。医療品と医療消耗品の調達における知財権保護を強化。
11.知的財産権の行政執行強化:外資企業への知的財産権侵害を断固として取り締まる。
12.対外関連の経済貿易政策と規制の策定の規範化:対外経済貿易政策の策定は透明性と予見可能性を高めることに重点を置くべきであり、外資企業の意見を聞き、新たな政策・措置の実行には合理的な移行期間を設けるべき。<投資と経営の円滑性向上>
13.外資企業の外国人従業員の滞在・居住政策改善:外国人幹部、技術者、家族の出入国、滞在・居住に対利便性提供。主要投資国の大使館・領事館を通じ多国籍企業幹部のビザ申請の利便性を供与し、在外組織を通じ入国政策をタイムリーに推進。適格な外資企業が雇用する外国人上級管理職、技術職の永住権申請を促進、外国人永住権IDカード所持者の利便性を向上させる。
14.越境データ移動の円滑なセキュリティ管理制度検討:サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法、個人情報保護法の要求事項を実施し。適格な外資企業のためのグリーンチャンネルを確立し、重要なデータと個人情報の越境に対するセキュリティ評価を効率的に実施することで、安全で秩序ある自由なデータ移動を促進する。北京、天津、上海、広東、香港、マカオの沿海部において自由に情報を持ち出せる一般データリストを試験的に制定する。
15.外商投資企業に対する法執行検査の調整、最適化: 「2つのランダム、1つの公開(双随机、一公开)」監督と信用リスク分類管理清楚を調整、低リスク外資企業に対する無作為検査頻度を引き下げる。条件のある地域における検査制度を調整し「1度の検査で複数項目の検査(进一次门、查多项事)」を実施し検査頻度を削減する。
16.外資企業に対するサービス保証改善:外資企業のための円卓会議制度を確立し、プロジェクトの各種課題解決を適時に調整し解決する。また、原産地証明の発給を適切に行い、外資企業による関税減免政策享受を支援する。

<財政・税制上の支援強化>
17. 外国人投資促進基金:中央対外経済貿易発展特別基金を通じてランドマーク的な外資プロジェクトへの支援を強化する。各地方政府による外商投資促進資金の利用を改善し、重点産業チェーンの投資を高める。また、法定権限内で主要多国籍企業の投資プロジェクトを支援できるよう地方を支援する。
18.外資企業の国内再投資を奨励:中国での利益の再投資に対する源泉所得税免除を実施、各レベルの地方税務部門を指導し、政策の適用範囲、手続き等を明確化する。
19.外資企業に対する優遇税制実施:外国籍個人の住宅補助金、語学研修、子供の教育費などにつき国家関連規程に基づき補助金や免税措置を享受できるようにする。R&Dセンターが科学技術イノベーションを支援する輸入税収政策や国内設備購入の為の付加価値税還付の政策が享受できるよう支援する。
20.外資企業による国家が発展を奨励する分野への投資支援:各地域の法的な権限の範囲内で「外国投資奨励産業目録」の規定に沿って支援を行なう地域を支援。外国投資プロジェクトの輸入設備免税関連措置を支援する。

<外商投資促進の方法の改善>
21.投資誘致政策の改善:「中国投資年」活動を実施し各地方が外資誘致業務を行なうためのサポートを提供する。投資誘致する地域に対し、対外投資促進の人員配置を強化し、政府、投資誘致機関、企業協会、仲介機関、産業チェーン有力企業の参加による投資促進の為の効率的なプラットフォームを構築する。
22.海外投資促進の強化:各地の投資促進機関が海外に赴いて誘致活動を行い、中国への投資や会議・展示会への参加等を支援する。外国に設置した投資促進機関の役割を発揮させ、外国の投資促進機関との連携を強化する。
23.外資の投資促進チャンネル拡大:在外大使館・総領事館や商務部・共産党の外国経済貿易促進組織と駐在国の重点企業や駐在国の投資促進機関との連絡を強化し、対外投資を促進する。
24.外国投資の評価の改善:外商投資の経済・社会発展への実際の貢献を重視し、投資規模や資本金額で評価しない。また、外資誘致実績が水増しされたり不健全な競争に巻き込まれないため、外資誘致の効果測定に関する健全な評価制度を構築する。

<組織と実施の強化>
各地方、各部門、関連部門は、投資環境をさらに最適化し外資誘致を強化するため、効果的に全力を尽くすべき。 。 商務部は関係部門と連携し、指導と連携を強化し、政策提言をしっかり行い、政策措置を適時に実施することにより外国人投資家にとってより最適な投資環境を作り出し、外国人の投資マインドを効果的に高める必要がある。

国務院  2023年7月25日 

記事原文
https://www.gov.cn/zhengce/content/202308/content_6898048.htm