【「香港国際金融センターの位置付けと展望」セミナーでの易綱中国人民銀行行長の開会スピーチ】

(2021年12月9日 中国人民銀行HPより)

・近年、香港と中国本土間の金融協力は以下のとおり重要な進展を遂げている。
①香港市場上場企業の半分以上を中国本土企業が占めており、さらに時価額では80%以上を占める。
②近年、海外投資家が保有するA株の約70%が香港で取引されており、金融ハブとしての香港の役割は向上している。
③現在、香港はオフショア人民元支払の50%近く、オフショア人民元預金の60%近く、オフショア人民元債券発行の80%以上を占める。
④広東-香港-マカオのグレーターベイエリアは、香港が国際金融センターとしての地位の向上に貢献している。
国際金融センターとしての香港の将来にはチャンスと課題が共存している。チャンスとは、中国経済の発展、具体的には「一帯一路」の投資と資金調達、金融技術、グリーンファイナンスの分野。課題とは、近年保護貿易主義が高まり、新型コロナウイルスの流行と合わせ、自由港としての香港は大きな影響を受けていること。中国人民銀行は、国際金融センターとしての香港を引続き支援していく。

①香港は本土と国際市場をつなぐ拠点としての役割を果たし、引続き金融市場サービスを改善し、世界の金融市場の主導的な地位を確立する。
②「一帯一路」の資金調達により、本土企業が「グローバル化」するための重要なゲートウェイとなり、金融サービスを改善して本土企業の「一帯一路」参加を支援する。
③人民元の国際化に香港は重要な役割を果たしており、将来的にはさらに拡大しリスク管理も改善される。
④金融技術の研究を進める。中国人民銀行と香港金融管理局は「広東-香港-マカオグレーターベイエリアにおけるフィンテックイノベーションの監督と協力に関する覚書」に署名した。 
⑤グリーンファイナンスを積極的に発展させる。 中国人民銀行と香港金融管理局は、中央銀行と当局のグリーンファイナンスネットワーク(NGFS)のメンバーとなっている。
⑥最後に、最近のドル建債権市場の動きについて。先週金曜日、恒大集団は香港証券取引所で保証債務を履行できない可能性があると発表したが、香港は効率的な金融運営システムを確立し、問題を処理するための法的規制を実行できる。個々の不動産会社の短期的なリスクは、中長期的な市場の通常の資金調達に影響を与えない。 中国人民銀行は、法律と市場の要件に従って適切に債務を処理し、多くの債権者の利益を保護するよう求める。 恒大集団のリスクは通常のマーケットイベントであり、市場原則と法に従って適切に処理され、債権者と投資家の権利と利益は法律により保護される。
(記事文)