2020年2月22日、中国駐福岡総領事館経商科技部の張小平部長と当機構の岡事務局長
は福岡で面談し、日本企業の対中投資の現状と展望及び新型コロナウイルスについて、
意見交換を行いました。
面談では、冒頭、張部長より今回の新型コロナウイルスへの対応として武漢への支援
物資を提供した花王株式会社に対し感謝の意が述べられた後、同社から贈られてきた
支援物資に関し、福岡総領事館の対応などを含め詳細にご説明をいただきました。
岡局長からは本件の陣中お見舞いを申し上げるとともに、新型コロナウイルスの終息
を見据えて、日本企業の対中投資の現状と展望をご説明致しました。
(張小平部長)
この度、新型コロナウイルスへの対応で武漢への支援物資として、花王株式会社から
大人用紙おむつ24万枚および消毒液6000本をご提供いただきました。防護服が不足
している武漢では、大人用紙おむつを使えば、防護服を着替える回数の低減に繋がり
ますので、非常に助かります。本当に感謝、感謝この一言に尽きます。花王は本当に
現地の状況をよく把握されていますし、今の武漢にとって一番必要なものを提供して
くれました。日中投資促進機構も機会があれば、花王の対応をPRしてあげて下さい。
(ご参考:武漢の病院からの感謝状)
(岡事務局長)
新型コロナウイルス発生に対しまして心からお見舞い申し上げます。状況は刻一刻と
変化しておりますが、貴職をはじめとした福岡総領事館の職員の方々、そして、中国
国内で連日、感染拡大防止に奮戦されておられる中国政府の方々、ならびに医療関係
者の皆さまの奮闘に敬意を表します。
(張小平部長)
暖かいお言葉を頂きありがとうございます。日本政府、花王をはじめとする多くの
日本企業、友好団体、地方自治体、そして個人の皆さまから様々なご支援を頂戴し、
本当にありがとうございます。
特に「九州経済連合会、九州商工会議所連合会、九州経済同友会、九州経営者協会」
の四団体は共同で中国支援の募金活動を行い、会員企業から多くの義捐金と義捐物資
を募集したと伺っております。(3月10日、285社の企業から受け取った2200万円の
義捐金及び約400万円相当の義捐物資を中国に送りました。)新型コロナウイルスに
関してはいま日本も結構厳しい状況でして、中国への支援に対して報道機関によって
色んな捉え方があり、そして世論の見方も賛否両論だと感じますが、総じて日本企業
は知恵を絞って、国内の需要を確保しつつ、中国にはできる限りの支援をしていると
実感しております。
一方、日本の状況が厳しくなってくる中、中国の企業から日本へ寄付したいとの相談
電話やメールなどが増えています。両国の経済界が連携して災害に立ち向かう姿勢に
とても感動します。
(岡事務局長)
大きな災害の前に、他人事で傍観するのではなく、お互いに助け合うのは困難を乗り
越える正しい道です。当機構の会員企業も含まれる多くの日本企業はX線CT診断装置
などの医療機器やマスク、防護服、手袋等の物資並びに義援金を寄付していると存じ
ます。一方、中国からも日本国内で不足している医療物資等を頂いている報道を目に
しております。今後につきましても、「山川異域、風月同天」の精神で困った時には
互いに助け合う関係を築いていきましょう。
(張小平部長)
ごもっともです。実は2月13日、当福岡総領事館は花王から今回寄贈された支援物資
の贈呈式を行いました。NHKも取材に来られまして、花王からは今回の支援に関して、
国境を越えて、いま一番困っているところにお役に立てる必要な物資を早く届けたい
だけの気持ちだとのことが示されました。花王の意向を受けて、当総領事館は各方面
と速やかに調整し、できるだけ早くこれらの物資を最前線へ送るために、中国政府の
関係省庁の積極的なご協力を通じて中国東方航空のチャーター機で上海経由して武漢
に速やかに運ばれるように動いていました。私も実はその対応で今朝大阪から福岡に
戻ったばかりで、こちらの写真で写っているように昨晩、頂いた支援物資をきちんと
関西空港から上海へのチャーター機に積んだのを見届けてから帰ってきました。
(岡事務局長)
丁寧なご説明ありがとうございます。張部長をはじめとする福岡総領事館の皆さまは
本当にご苦労さまでした。今回の新型コロナウイルスの感染拡大で日中間の往来が停滞
するなど、もちろんマイナスの部分が大きいですが、この逆境の中で経済・ビジネスの
観点から何かできることというか、プラスの材料になるようなものはないでしょうか。
(張小平部長)
非常に良いご質問をいただきました。主なものとして、2点申し上げます。
1つ目は支援などを通じて中日両国の企業は利益ばかり追求するのではなく、共に手を
携えて新型肺炎を乗り切るために、中日友好を促進するために積極的な役割を果たして
いくことが確認されました。
2つ目は災難に向き合う姿勢を世間に示すことで、堅実な会社として評価され、将来の
ビジネスチャンスの拡大にも繋がる可能性があることです。一例を挙げますと、ファー
ウェイの基地局のシェアが日本市場で拡大できたのは3.11東日本大震災後の対応で日本
の通信業界に評価されたからです。
(岡事務局長)
そうですね。私も同感です。感染拡大によって、日中両国の経済、世界経済への影響が
懸念されるとの声がありますが、日中両国政府は感染拡大防止と同時に経済の安定にも
力を入れています。企業は新型コロナウイルスと向き合うことによって、例えば、テレ
ワークやEランニングなどの新しいビジネスが生まれます。そして、これらのビジネス
チャンスは決して自国内に留まらず、海外にも展開されることが予想できます。
(張小平部長)
岡局長の鋭い観察力に感心致します。中国では、ファーウェイの5G技術を利用した遠隔
診断、遠隔治療設備はすでに武漢の病院で実用化され、また裁判所にも5G技術を導入し、
遠隔裁判などが行われていると伺っております。更に、多くの学校はネット教室を利用
して授業を継続しています。ウイルスに追い込まれたとは言え、新しいニューズと技術が
多く生まれた一面もあります。これらの技術はこれからの経済活動をどう変えていくかは
観察すべきです。少なくとも遠隔診断や遠隔治療設備はすでに実戦で検証済みの技術で、
これから日本の感染拡大防止に役に立つことができれば、支援させていただきたいと思い
ます。
支援物資への対応で、昨日(2月21日)のサイトビジットツアー&ビジネス交流会に参加
できなかったのは本当に残念でした。イベントはいかがでしたか。
(岡事務局長)
アジアを視野に入れた九州の青果物流拠点・福岡市ベジフルスタジアム(福岡市中央卸売
市場青果市場)およびトヨタ自動車九州 宮田工場等を視察し、意見交換を行いました。
また、その後のビジネス交流会では、本イベントの事務局、福岡市の外郭団体であります
福岡観光コンベンションビューローの職員ほかツアー参加者の皆さまと福岡・九州エリア
の国際ビジネスにおける役割と今後の展望等について意見交換ができました。福岡・九州
エリアにはアジアのゲートウェイとして将来の発展に大きな期待を抱いております。
(張小平部長)
距離的には東京と結構離れていますが、福岡・九州エリアで何かございましたら引き続き、
連携を密に対応して参りましょう。
(岡事務局長)
ありがとうございます。今後、当機構としても福岡観光コンベンションビューローなどの
団体と連携して福岡・九州エリアでも会員企業のためにオールジャパンの活動ができれば
と考えております。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。