【挿隊的日子~下放の日々~】(7)

7.「意外収穫」~思いがけない収穫~

知識青年たちは農村に居る期間が長くなると誰しもホームシックにかかったものだが、私たち生産隊の知識青年は、一週間ごとにそのホームシックになった。

我が校からの20人は、この生産隊の中だけでなく、北京市全体の知識青年の中でも、一番家が近く、その距離はおよそ12㎞。交通の便もとても良く、公社員から農副産品を買ったり、交換したりした後、350番バスに小一時間も乗れば家に帰れたし、歩いたとしても三時間はかからなかった。

公社員から手に入れた農副産品はもちろん家に帰るための口実で、より重要なのは肉や酒にありつくことであり、ついでに何がしかの物をかき集めて持ち帰ることである。というわけで、私たちは家に帰ることを「掃討作戦」と呼んでいたのだが、家にいる両親にしてみれば「災難」と言うべきであった。仕方ないではないか。食い意地が張っていたのだから。

誰かが「掃討」から戻ってくる度に、みんなが蝿のようにワッと群がり、すばしこい者は有無も言わせずにカバンをぶちまけて、食べられるものを口に押し込んでしまう。

自分が家から戻ったのを知られないように、夜、みんなが寝静まった後とか、部屋に誰もいない時に、持ち帰った食べ物をこっそり隠し、独り占めするようなケチなヤツもいた。相部屋の人でもめったに気づくことはないので、分け前のあずかりようがない。

この手のヤツの、誰かが食べ物を配る時の能力と言ったら見くびることはできない。自分は仲間だと言わんばかりに思う存分食べるのだ。誰かにたかって食べたり飲んだりする様は、まるでモリエール作『守銭奴』のアルパゴンのようだった。私たちは「雀のおなら――しみったれ」と軽蔑していた。

公社員から手に入れた農副産品の大部分は家に送り届けたが、少しは手元において自分の「ぜいたく」のために使った。

それをどうやって食べるか?観察の結果、ハンドトラクターのラジエータは、熱を放出させるほかに、食べ物の加熱や煮炊きの機能も提供してくれている、ということを発見した。卵は食糧キップを使って公社員のところで交換したものだし、トウモロコシやサツマイモは、生産隊の畑に山ほどあるわけで現地調達が可能。何事も節約できるものは綿密に計算して、自分の食糧キップを無駄にすることはない。トラクターのラジエータの「特殊機能」を開発してからというもの、私たちの腹を満たす技術は生産隊の中に広まっていった。

どのようにしたら生産隊の食糧生産量を上げられるか、という方面の造詣を深めることについては少しも関心がなかった。

今、思い返すと慚愧に堪えない。

(2017/11/28掲載)