【当機構海外アドバイザーより寄稿】『中国の電気自動車産業の台頭』~シャオミ(Xiaomi)の電気自動車を例に見た~

◆一般社団法人日中投資促進機構の海外アドバイザー 郭 文軍様より寄稿2◆

 近年来、中国の電気自動車産業は急速に発展し、世界の注目を集めています。その中で、シャオミ(= Xiaomi)の電気自動車SU7の発表は広範な議論を引き起こしました。本稿では、シャオミの電気自動車を例に、中国の電気自動車の現状、課題、および展望について探ります。

出典:中国新聞網(中新網)

 電気自動車の波の中で、シャオミSU7はその独特な魅力と強力な性能で多くの消費者の注目を集めています。外観は、現代美学と空気力学を融合させ、多くの車種の中で際立っています。技術面では、Qualcomm 8295チップを搭載し、豊富なスマート機能を統合しています。動力システムと運転性能においては、0-100km/hの加速性能が2.78秒であり、Teslaの発表当初の3秒を超えています。また、公式のガイド価格が30万元以下という価格帯は、消費者にとって非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。 次に、シャオミの電気自動車の台頭は、中国の電気自動車の政策支援と市場需要を浮き彫りにしています。中国政府は電気自動車の発展を奨励する一連の政策を打ち出しており、補助金政策や充電インフラの整備などが含まれます。これらの政策は、電気自動車企業に良好な発展環境と市場機会を提供しています。また、消費者の環境意識の高まりとスマートな移動手段への追求に伴い、電気自動車への需要が増え続けており、企業に広大な市場空間と潜在的な利益をもたらしています。

出典:中国汽車工程学会

しかし、中国の電気自動車産業の台頭は、一部の課題にも直面しています。まず、技術革新と自主研究開発能力の向上が必要です。中国の電気自動車企業は一部の分野で重要な突破口を開いていますが、国際的な先進水準と比べると、なお距離があります。例えば、バッテリー技術、スマートドライビング技術、国際市場での認知度などにおいては、比較的遅れています。また、電気自動車のデザインと品質においても、自身のデザインイノベーションと品質管理を強化する必要があります。したがって、企業は核心技術の研究開発への投資を増やし、自主革新能力を高めることで、激しい市場競争の中で不敗の地位を確保することが求められます。
 さらに、市場競争の激化も中国の電気自動車産業の発展が直面する課題の一つです。多くの企業がこの分野に参入する中で、競争は日々激しさを増しており、企業は価格競争やブランド競争など多重の圧力に直面しています。そのため、企業はブランド構築と製品差別化競争を強化し、製品品質とサービスレベルを向上させることで、消費者の信頼と支持を得る必要があります。
 多くの課題に直面しているにもかかわらず、中国の電気自動車産業は依然として巨大な発展の潜在力と機会に満ちています。技術の絶え間ない進歩と市場需要の拡大に伴い、中国の電気自動車産業はさらに輝かしい未来を迎えることでしょう。シャオミの電気自動車の台頭は、この産業発展の一つの縮図に過ぎず、政府の政策指導と企業の不断の努力の下で、中国の電気自動車産業はさらに美しい明日を迎えることを信じています。