【多余的話】『恋と女の日本文学』
4月末から5月にかけて、長雨が続いたが、耕す程の土地もなく、筆耕するほどの技能もない。晴れたら歩き、降れば読み書きをする毎日。算盤勘定や晴耕雨読とは無縁の「たられば」生活。 本棚から丸谷才一『恋と女の日本文学』の埃を払っ…
4月末から5月にかけて、長雨が続いたが、耕す程の土地もなく、筆耕するほどの技能もない。晴れたら歩き、降れば読み書きをする毎日。算盤勘定や晴耕雨読とは無縁の「たられば」生活。 本棚から丸谷才一『恋と女の日本文学』の埃を払っ…
唐物の能の名作「邯鄲」を金沢で観る機会がありました。登場人物の多さとドラマチックな展開。人生の栄華は粟飯の一炊の夢。人生は夢のように儚いと思えば、「出離生死」(生死の苦を克服)できるとの悟りの境地に、こちらは一睡もできな…
上海から「倒春寒」と寒の戻りが伝えられ、大阪で小雪が降る中、難波体育館での大相撲春場所12日目、11時頃に場所入りした。 序二段から結びまで一睡もせず、薄い座布団に座って観戦した。 入社して配属された中国貿易室の先輩女性…
1987年夏、新疆ウイグル自治区庫車(クチャ)、我々砂漠専用車実験チームは石油工業部(現中国石油天然気総公司)の招待所でタクラマカン砂漠に入る為の許可書発行を待っていた。クチャに到着してから既に三日が過ぎていた。気温は4…
毎年の習わしで大河ドラマに関する出版物や画像が増える季節、本屋に『光る君へ』コーナーができて、図書館では源氏物語の特別展が開かれている。今回の題材は戦国時代の合戦絵巻や幕末開国の髪型や服装の劇変という視覚的な分かり易さに…
先月は『梅兄弟』と題して150年前の「開花した梅」「萎れた梅」に触れた。今月は寒の底にある北京での春節について綴りたい。 これまで体験した北京での春節のなかで、最も牧歌的で、味わい深かったのは1990年代初頭の春節だった…
前回12月の掲載から一週間後12月17日の地元紙「福井新聞」を読んで、思わず声を上げてしまいました。毎週日曜日に愛読している「ふくい日曜エッセー 時の風」に「楊貴妃が来ていた?」と「阿倍仲麻呂『小浜へ』計略か」と大きな見…
ここしばらく食べ物の話を書いてみましたが、今回は食べ物を運ぶ、つまりフードデリバリーの話をしてみたい。 昨年は2回ほど中国に行ってきましたが、街に出かけると、電動バイクを乗っているフードデリバリーの姿がよく目につきます。…
1986年6月、梅雨のない東北地方は晴天だった。未明の早朝に北京を出発した列車は昼過ぎに遼寧省叶柏寿駅に到着した。当時の列車は時間調整のために時に数十分停車する。我々はゆっくりと下車の準備をした。何気なく車窓の外を見ると…
年始早々に天災人災が続きます、と発信したら、山東人の先生から「天災人禍」と、より相応しい表現で哀悼の返信が届きました。山東半島と能登半島は緯度的にほぼ重なります。30数年前、山東半島の青島市に駐在していた時、青島・金沢・…