2019年2月18日(火)、中華人民共和国駐日本国大使館経済商務処の宋耀明公使と当機構の岡事務局長が面談し、新型コロナウイルスについて意見交換を行いました。
面談では、冒頭、宋公使より日本政府や当機構会員を含む日系企業からの支援に対し感謝の意が述べられた後、外資誘致の方針や外資企業支援の政策についてご説明をいただきました。
岡局長からは、本件のお見舞いを申し上げるとともに、日系企業の現地オペレーションが一日も早く正常な軌道に戻ることを全力でサポートしてくことを約束し、そのためにも引き続き、中国大使館商務処を始め、中国政府中国政府の協力支援をお願い申し上げました。
(岡事務局長)
新型コロナウィルス発生に対しまして、心からお見舞い申し上げます。状況は刻一刻と変化しておりますが、貴職をはじめとした中国大使館の職員の方々、そして中国国内で連日、感染拡大防止に奮戦されておられる中国政府の方々、ならびに医療関係者の皆様の奮闘に敬意を表します。
(宋耀明公使)
暖かいお言葉を頂きありがとうございます。日本国政府を始め、日本の多くの企業、友好団体、地方自治体、そして個人の皆さまから、様々なご支援を頂戴し、本当にありがとうございます。特に貴機構の会員企業であるキヤノンを始め、三井物産、伊藤忠商事、住友商事等、およびその他多くの日本企業の方々からX線CT診断装置などの医療機器やマスク、防護服、手袋等の物資、ならびに義援金のご支援を頂きました。今後につきましても困った時には互いに助け合う関係を築いていきましょう。
また、一日も早く日系企業を含め、外資企業が中国国内での事業が正常に戻れるように商務部として全面的にサポートさせていただきます。さらに、WHOも中国との人的・物的交流において、過度な制限措置は必要ないと発表しております。中国政府機関も外資企業の正常なオペレーションを支持します。ご安心ください。
(岡事務局長)
今回の件に関し2020年2月7日に商務部弁公室が公布された「新型コロナウィルス肺炎に積極的に対応し、外資企業サービスおよび外商誘致業務を強化すること関する通知」が公布されました。その趣旨をお聞かせください。
(宋耀明公使)
この通達は、中国政府として、外資企業へのサービスおよび外商誘致活動に対して、あらゆる手段を講じて適切に行っていく決意を表しています。内容は大きく分けて5つです。
① 外資企業の正常な生産経営の秩序ある再開を支援する。
② 外資の大型プロジェクトへのサービス保障を強化する。
③ 外商の誘致の方法を刷新し、最適化する。
④ 地域に応じた措置を講じターゲットを絞った支援をする。
⑤ ビジネス環境を継続して最適化する。
主要なものとして、2点申し上げます。一つ目は外資企業の操業再開支援についてです。現地政府の計画に照らし、事業再開前の各種準備作業を支援し、外資企業の秩序ある業務生産再開を全力で支援します。具体的には、企業が必要な防護用品の購入を積極的に協力、オンラインプラットフォームを充分に活用し、労働力需要のマッチングを促し、企業の生産再開への雇用保障を強化、外資企業からの苦情処理を適切に実施するなどです。
二つ目は個々の企業別支援についてです。新型コロナウィルス肺炎が各種外資系企業に及ぼすそれぞれの影響に焦点を合わせ、分類して策を講じ、それぞれの企業に合った個別の政策を打ち出し、関連部門とともにターゲットを絞った支援措置を講じます。
また、外資企業に対する商務部の追加支援策として、2月18日付で「新型コロナウィルスによる肺炎に対応し、対外貿易・外国投資の安定発展と消費促進に関する通知」を公布しました。内容は、上記7日付通知を踏まえて、外資企業が中国経済に対し自信を持つこと、自由貿易試験区・国家レベル経済技術開発区などの外資誘致を強化し、試験区等での実績を評価し全国に展開すること、疫病による影響と企業の状況をモニタリングするシステムを整備するなどの新しい支援策をさらに打ち出しました。
いずれにおいても、日系企業が事業再開に向けて問題に直面した際には、日本本社から商務処宛にご連絡が頂ければ、可能な限りサポートをさせていただきます。
(岡事務局長)
新型コロナの感染拡大の中、今後中国経済の見通しについてお聞かせください。
(宋耀明公使)
感染拡大によって中国経済、世界経済への影響が懸念されるとの声がありますが、中国政府は感染拡大防止と同時に、経済の安定にも力を入れています。中国人民銀行が市場に1兆2000億元の資金を市場に供給するほか、政府は融資規制の緩和や緊急対策資金の投入、税金免除など、一連の市場安定措置を導入しました。また、先ほども紹介しましたように、企業の生産開始を支援するため、商務部を含む中国政府の各部門や各地方も積極的に対策を打ち出しております。現在、上海・南京・長春・広州など、一部の日系企業の生産はすでに開始しました。
客観的に分析すると、中国経済に対する新型コロナの影響は短期なもので、中国経済は長期的に上向き、質の高い成長を続けるファンダメンタルズに変化はありません。中国は世界最大な市場を有しており、中所得者層はすでに4億人を突破し、巨大な消費力が潜んでいます。あらゆる製造業部門を有する唯一の国、そして最大の貿易国として、中国には持続成長の基盤が整っており、経済を含め強靭性が強化されています。中国は2003年のSARSと2008年の金融危機を乗り越え、経済の高度成長を維持する経験を積み重ねてきましたし、今回も感染症の影響に対応し、経済の長期的且つ安定した発展を維持する自信とその能力を持っています。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は中国経済が新型コロナウィルス感染拡大の影響から「早期に回復する」可能性が高いとの見通しを明らかにしました。日本の皆様にも、ぜひ中国経済に自信を持っていただきたく存じます。
(岡事務局長)
最近、日本国内においても感染者数が増加し、感染経路も複雑になっております。中国の経験を踏まえたアドバイスがあれば教えてください。
(宋耀明公使)
大きな災害の前に、他人事で傍観するのではなく、お互いに助け合うのは困難を乗り越える正しい道です。今回中国国内の感染拡大にあたり、日本から多大なご支援をいただき、非常に感銘を受けていると同時に、一衣帯水の両国としての友情の絆は磐石なものであり、さらに深めていきたいとしみじみ感じることができました。最近、日本でも新型コロナが流行し始めますが、中国側としても全力で支援をいたしたく存じます。最近、日本国内では新型コロナウイルスの検査キットが不足していると伺い、中国側は速やかに関係方面と調整し、検査キットを日本国立感染病研究所に無償提供しました。今後、疫病に関する情報の共有を強化し、治療方法や病原検査、特効薬やワクチンの開発などについて協力し、日本側のニーズに応じて必要な医療物資も提供いたしたいと思います。貴機構の会員の皆様には疫病に関する情報を知っていただき、感染予防のために万全な対策をとっていただきたいと思います。
(岡事務局長)
丁寧なご説明ありがとうございます。弊機構と致しましても、日系企業の現地オペレーションが一日も早く正常な軌道に戻ることを全力でサポートして参ります。そのためには引き続き、中国大使館商務処を始め、中国政府の全面的なサポートが不可欠です。引き続き、ご協力ご支援をよろしくお願いいたします。
(宋耀明公使)
貴機構の会員企業からの声をどんどん商務処におっしゃってください。引き続き、連携を密に対応して参りましょう。