●白露(2016年9月7日 曇りのち晴れ 最高気温31℃、最低気温19℃)
白露とは、秋の典型的な気候のひとつで、夜は気温が低下し、翌朝には白い露が出来る季節のことを言います。北京では、最高気温は30℃前後とまだ高いですが、最低気温は20℃を切るようになり、夜は多少冷え込んできます。
秋の日曜日、晴天に誘われて、景山に登り、北京の空を眺めました。そして、隣の北海公園まで足を伸ばそうと思い、景山と北海の間にある通りを歩いたところ、おじいちゃんとおばあちゃんがいっぱいいるのです。
この通りは、景山から北海につながる道のため、時々利用しますが、このような人だかりは初めてです。ちょうど日曜日の午前、中秋節を控えて、多くの人が繰り出したためでしょうか、縁日のように賑わっています。売っているものは、海産物や果物などの干し物、菓子、洋服などです。
東京のおじいちゃん、おばあちゃんの街といえば、巣鴨です。巣鴨はとげぬき地蔵尊がいらっしゃるためでしょうか、人出が多い中にも、ある種の落ち着きがあると思います。
しかし、こちらは、雑踏という以上に、“雑然、乱雑”なのです。
店舗ばかりでなく、路上に商品を広げて売る人がおり、その人混みのなかを車が入ってくれば、三輪モーターに乗ったおじいちゃんが警笛を鳴らして突っ込んでくるのです。
今回は、写真を中心に紹介します。北京の老人パワーと商売人の熱気を感じて頂ければ幸いです。
木漏れ日のなか、おじいちゃん、おばあちゃんが、何かよいものはないかと眼を光らせながら歩いています。左上に、緑色の看板があり、「老北京正宗伝統……」と見えますが、回教の老舗菓子店です。この通りは“陟山門街”と言います。“陟(ちょく)” とは、見慣れない漢字ですが、“ノボる”とも読み、“北海公園の白塔が建つ山の門前街”という意味です。
黒Tシャツ・黒帽子の兄さんが声高々に呼び込みをしています。黄色地に赤色で「新花生米」と手書きの紙が見えますが、“今年採れた落花生”のことです。“米”はコメではなく、落花生の殻をむいたものを指します。
こちらも、今年採れた松の実やクルミを一生懸命に売っています。
人の迷惑もなんのその、多くの人が行き交う路上で、ナツメを山盛りに広げて売っています。
店舗ではなく、ワゴンで乗りつけ、洋服や布地を売っています。
おばあちゃんが好きそうな洋服店。小さくて見えづらいかもしれませんが、マネキンも個性的です。
文・写真=北京事務所 谷崎 秀樹