【北京の二十四節気】秋分-あるシェアハウス-

9 25 2017

秋分-あるシェアハウス(2017923日 曇り 最高気温 28、最低気温 18℃)



シェアハウスと聞くと、若者が集まり、共同キッチンで、仲良く食事を作り、時には近づき、時には距離を置きながら暮らすという、ちょっとおしゃれな生活スタイルを想像します。

 



【北京の一般的な居住区の入り口】

 

北京では1990年代以前に建てられたアパートのほとんどが6階建てです。それは、6階建てまではエレベーターを付けなくてよいとの規定があるためです。一方、郊外などでは、立派なエレベーターが付いた新築の高層マンションが立ち並んでいます。

 

【訪問した6階建てのアパート】

 

地方から出てきた人たちが北京で暮らす場合、高層マンションは高嶺の花、結局は古いアパートの一室を更に小分けにした小さな部屋を借りて、肩を寄せ合うように住むのが一般的です。中国では、このような部屋をシェアハウスと呼んでいます。

 

【中国のアパートはどこでも玄関を出た階段などの公共スペースは誰も掃除をしません。そのため、至る所に広告が貼られ、ほこりだらけになっています】

 

今回訪ねたのは、北京の第二環状線の外側、同じ敷地内に56棟のアパートが建っている大きな居住区です。そのなかで、奥まったところにある黄色に塗られたアパートの4階が訪問先です。この1室は、使用面積100㎡ほどのなかに、小さい部屋が4つ、細長いキッチンが1つ、トイレとシャワーが一緒になったところが2つあります。

 

【細長いキッチン】

 

【トイレ&シャワー室】

 

4つのなかで一番広い9畳ほどの部屋に、小学校4年生の所君が母方の祖父母と3人で暮らしています。ご両親の仕事の関係で、所君は2歳のときから、このおじいさん、おばあさんに引き取られ、遼寧省撫順市で成長し、小学校に入学するのを機に、3人で北京に移り、この1室で暮らし始めました。

 

3人の部屋。右側が所君、奥がおじいさんとおばあさんのベット】

 

「この子は、テコンドーで、北京第一位になったことがあるんだ。卓球もうまくて、北京の選抜チームに入らないかと誘われたこともあるんだぜ

「放課後は、ほとんど毎日、英語、算数などの課外活動があります。週末も、土曜日午前に中国画の塾に行き、午後は北京郊外の両親の家で泊まり、翌日曜日午前中にこちらに戻り、午後はまたテコンドーの練習です」

「やっぱり学校は北京だね。それも市内の学校のほうが、設備も良いし、先生も良い。今、この子が通っている小学校なら、そのまま有名な中学に入れるのさ」

 

所君、おじいさん、おばあさんと隣人

 

撫順には炭鉱があり、戦時中は日本軍が虐殺を行ったという遺跡があるところですが、おじいさん、おばあさんはおくびにも出さずに、それぞれ孫の自慢話ばかりしています。時折、おじいさんの黒い大きな手が、孫の頭を優しく包むように撫でます。出していただいたお茶がとても美味しく感じました。

北京の生活はどうですか?と聞いたところ、

「北京にはなんでもあるから生活には困らないが、部屋の値段が高いのにはビックリだね。ここら辺の部屋を買うとしたら、10万元(約165万円)/㎡はする。俺は撫順に部屋を買ってあるが、撫順は田舎だから5千元(約8.2万円)/㎡以下だよ。北京じゃ、自分の給料だけでは一生かかっても部屋が買えない。若い人たちが可哀そうにみえてくるよ」

 

【若い女性の部屋】

 

こちらは若い女性の部屋です。彼女の名誉のために、一言申しますと、いつもはきちんとしているのですが、訪問した翌日引越すために、散らかっているとのことです。部屋は6畳ほどで、家賃は2,100元/1ヶ月、それに電気代60元と水道代50元を合わせて、2,210元(約36,000円)。手取り給料が約5,000元(約8.2万円)ですので、収入の44%が家賃+水道光熱費です。残ったお金も食費、洋服代、交際費でほとんど無くなってしまうとのことです。

そんな生活をしてまで、なぜ北京にいるのですか?と聞いたところ、

「田舎に比べれば、北京はなんでもあります。良い仕事、いろいろな人と知り合う機会など、チャンスが沢山あります。自分の進む道を見つけることができる場所が北京なんだと思います。そのためには、行動を起こさないといけません。今度、会社を辞めて、大学院に入り、改めて勉強をやり直します。」

 

Boys  be  Ambitious (青年よ 大志を抱け)!

 

文・写真=北京事務所 谷崎 秀樹

 

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★本コラムについてはこちらから→【新コラム・北京の二十四節気】-空竹-
★過去掲載分:
白露-北京の剣道-2017/9/7
処暑-八大胡同-2017/8/23 
立秋-恭王府-2017/8/7