【北京の二十四節気】大暑-什刹海-

7 24 2017

大暑-什刹海(2017723日 曇り時々雨 最高気温 27、最低気温 24


大暑(たいしょ)になりました。北京は、昨年までは暑くても、雨が無く、カラりとした比較的過ごしやすい気候でしたが、今年は異常気象なのでしょうか、先週からずっと雨模様が続き、湿度が高く、まるで東京のようなジメジメした気候となっています。

さて、「北京には“六つの海”がある」と初めて聞いたときは、びっくりしたものです。北京の中心である故宮の西には、“中海”と“南海”があります。今の中国政治の中枢である“中南海”は、この二つを合わせた一帯を指し、厳しくガードされています。その北に、“北海”があり、公園として一般開放されています。更に北にあるのが“前海”、“後海”、“西海”の三つで、この三つの“海”を総称して“什刹海(
shi cha hai)”といいます。

“池”といってよいくらい“小さな湖”のことを、北京の人たちは、胸を張って“海”と呼びます。
13世紀、モンゴル人が中国を征服し、北京に首都を築いたときに、これらの池を“海”と名付けました。北京の近くには渤海湾がありますので、モンゴル人も海を知らないわけではなかったと思います。しかし、草原に住む彼らにとって、近くに無いものへの憧れからでしょうか、或いは大きな度量を示したかったからでしょうか、一番大きな北海でも一周3.5㎞ほどの池を“海”と名付けたのです。なお、参考までに前海は一周2㎞弱、後海3㎞弱、西海1㎞前後です。

“北海”は公園となり、入場料(と言っても
200円前後/オンシーズンとオフシーズンで金額が若干違う)があり、開閉園時間があるのに比べ、“什刹海”は何の制限もありません。周辺には、北京の古い路地である“胡同(hu tong)”や恭王府などの名所旧跡が数多くあり、飲食店や土産物屋なども軒を連ねています。また、中国語で「酒吧街(jiu ba jie)」という生演奏があるバーが数軒集まっているストリートもあり、昼夜人出が絶えません。


今回は、これまでと趣向を変えて、北京の庶民や観光客が安らぎを求めて集う什刹海(
shi cha hai)を、読者の皆さまとともに巡ってみたいと思いますので、お付き合いのほどお願いいたします。 



まず、来ましたのは、
什刹海の南端、“前海”の入り口です。ここは、地安門大街という大きな道路に沿っているため、人通りが大変多いところです。ここで、京劇をやっている一団に出会いました。左の帽子を被ったおじさんが唄い、京胡、大小のドラなどで演奏し、結構人を集めています。演奏中も、演者がそれぞれおしゃべりしたり、タバコを吸ったりと、自由気ままなもので、皆楽しそうに弾いたり、叩いたりしています。 


“前海”の東側を回り、金錠橋を渡ったところで、
老人たちが“牌九(pai jiu)”というゲームで遊んでいます。これは、掌に入るほどの細長い黒い板に白や赤の丸印が彫られた牌を使って4人で遊ぶゲームですが、ルールはよく分かりません。ひげ老人の手前には、1厘硬貨(0.01元=約0.16円)が数枚置かれています。しかし、数厘といえども、真剣な顔で勝負しており、いつも数名のギャラリーがたむろしています。 


金錠橋から銀錠橋を横目に見ながら、
“後海”に入りました。この辺は木々も多く、汗が出てきた身体を休めるのにちょうどよい所々にベンチが置かれています。そんなベンチの一つに若いカップルが座っています。日本でも中国でも同じなのでしょうが、今どきの若い人は、デートのときも、話をしないで、ずっと携帯をいじっています。 


 “後海”では、夏でも冬でも、泳いでいる人を見かけます。当局は遊泳を禁止しているようですが、全く後を絶ちません。この写真でも、白い帽子を被って泳いでいる人を見つけていただければと思います。


“後海”沿いを脇道に入りました。この路地は「鴉儿胡同(
ya er hu tong)」と言います。北京は、メインストリートから一歩中に入ると、直ぐに胡同が延びる下町風情に変わります。この変化が不思議というか、魅力的なところです。胡同に入ると、一匹のワンちゃんが寝そべっています。昼下がり、眠くて仕方のない様子です。中国では、リードを付けない、放し飼いの犬をよく見かけます。しかし、かわいいといって、安易に手など出してはいけません。狂犬病の予防接種をしている犬はまだ少ないため、嚙まれると生命が危険になることもあります。 


「鴉儿胡同(
ya er hu tong)」を通りながら、銀錠橋に戻る途中に、広化寺があります。今回は、この広化寺を見学しようと思っていたのですが、残念ながら、改築中です。しかし、こちらのネコちゃん、門前の大きな狛犬に負けじと同じ姿をしていて、とても格好良いのです。ちなみに、什刹海”の名前は「周辺に“十の名刹(お寺)”があった」ことから由来するともいわれ、広化寺も“十刹”の一つです。 



銀錠橋を渡り、先ほどの“後海”の対岸にやってきました。ここら辺は、先ほど紹介しました生演奏があるバーが数軒集まっているストリートの一つで、人通りの多いところです。赤いほろが付いた客を乗せる自転車は、什刹海の“胡同周遊”で大活躍しています。ここで、偶然、車夫が一人歩きの若い女性を誘ったところを写真に収めることが出来ました。この後の結果は?皆さん、お分かりと思いますが、期待にそぐわず、すげなく断られました。

 


 ここも、さきほどの“後海”の「酒吧街(
jiu ba jie)」にある生演奏を聞かせる一軒のバーです。窓を広々と開けて、生演奏を聞かせ、客を誘っています。
 


 日が暮れてきました。
“後海”の波止場から観光船に乗りました。船は人力ですので、ゆっくり“後海”を回り、銀錠橋をくぐって“前海”に向かいます。銀錠橋は、有名な写真撮影の定番スポットです。

 今日はここまで“什刹海”巡りにお付き合いいただき、有難うございました。それでは、この船で“前海”の波止場まで行き、地下鉄に乗って帰りましょう。


 
文・写真=北京事務所 谷崎 秀樹


★本コラムについてはこちらから→【新コラム・北京の二十四節気】-空竹-
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2016年掲載分

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