岡野寿彦著「中国デジタル・イノベーション ネット飽和時代の競争地図」

10 07 2020



【本誌内容】
■世界の注目を集めた中国プラットフォーマーのビジネスモデルには限界が見えてきた。アリババもテンセントも、これまでの手法では先がない。ネット展開はすでに飽和。中国のプラットフォーマーたちはリアルとの融合に戦略転換し始めた。
■消費者の安全性、信頼性への要求が高まり、競争の焦点が消費者接点から、商品やサービスそのものへとシフトしつつある。その中で、主要なプレーヤーのBAT(百度、アリババ、テンセント)に加え、TMD(バイトダンス、美団点評、滴々出行)が新たな主役として登場してきている。
■この変化は、リアルに強い日本企業にとっても有利になる時代がやってくることを意味する。第二幕に入った中国デジタル革命の実態を、「コロナ後」の展望も含め、中国ITビジネス・経営に精通する専門家が詳細に解説する。


【書評】
米中対立が貿易から安全保障やイデオロギーのステージなり、世界中で中国系テック企業への関心が高まっている。本書は、中国デジタル実務分野の第一人者である同氏の経験と最新の知識に裏付けされた集大成の著作であろう。北京や新疆駐在経験、政府や企業相手に交渉された実績、トップマネジメントとして培われた洞察に留まらず、個々に生じる「違和感」が脚踏実査によって丁寧に潰しこまれている。膨大な知識や情報量を、過去、コロナに直面する現在、そして将来展望という時間軸とネットとリアル(あるいはソフトとハード)いう戦略分析の軸を融合させたアプローチに加えて、市場と戦略のわかりやすい俯瞰地図で補うことで理解が深まるように細部に工夫がなされている。また、話題のBATからTMDまで個別プレーヤーの戦略がケーススタディとして紹介されているため、特定ビジネスを目的とする企業家や研究者にも役立つであろう。特筆すべきは、日本企業が抱える悩みにエールを込めてインプリケーションを示されている点にある。中国プラットフォーマーの成長のジレンマ、戦略第2ステージを模索する彼らの危機感を絶好の機会と捉え、ニューノーマルの今こそ日本企業がもつ優位性、即ち、リアルの強みや品質・組織といったオペレーショナルエクセレンスという武器にこそ光が当たるポジショニングであると言う。日中デジタル競争と協業の世界から当分目が離せそうにない。
(日中投資促進機構、みずほ銀行理事 岡豊樹 )





◆概要

著者:岡野 寿彦
新書: 480ページ
出版社: 日系BP
言語: 日本語
ISBN:978-4532323585
発売日: 2020/9/24


◆価格:
定価 2,750円(税込)


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